7月24日(日) 天候:晴れのち曇り
穂高岳山荘6:35・・・7:05涸沢岳7:20・・・8:00涸沢槍の肩・・・9:00最低コル・・・10:40北穂高岳 北穂高小屋(泊)
5時前になると常念岳から朝日が昇りはじめ、今日も午前中の好天は約束されている。


今日と明日は昨日のような天気になりそうで、南岳小屋に泊る予定を北穂高小屋に変更する。
そうすれば昨日の疲労も取れるし休養になるだろう。
朝食後はコーヒーを飲んでのんびり出発する。

涸沢岳3110mに立つと北穂高岳が眺められ、大キレットの向こうには槍ヶ岳が聳えている。

遠く白馬岳や鹿島槍ヶ岳の眺めもある好天だ。

越えてきた西穂高岳からジャンダルムが見えるとは、朝からお年玉をもらった気分になってくる。

奥穂高岳~ロバの耳~ジャンダルム

笠ヶ岳~抜戸岳

前穂高岳の遠く後方には南アルプス全山が眺められ、その左端には富士山も姿を現している。

今日もいい天気に恵まれるとはラッキーで、のんびり北穂高岳までの岩尾根を楽しもう。

北穂高岳までの直線距離はたったの1キロだが、昨日と同じように岩稜やクサリ場が多くて3時間ぐらいかかりそう。
いきなり涸沢側の凹型を急降下すればミヤマオダマキが咲いている。

どんどん高度を下げていくと花畑が広がっている。

ハクサンイチゲやイワカガミにイワベンケイ

涸沢槍との鞍部には雪が残っていて、眺めるピークは前穂高岳と北尾根だ。

涸沢槍の肩を越えるとクサリの急降下。

昨日は岩稜を長時間行動したので慣れたものだし余裕の表情だね。

とはいえ気の抜けない下りが続いている。

涸沢カールと島のようなライオン岩を見下ろせる。

前方に北穂高岳を見上げるようになってきて、振り返ると越えてきた涸沢岳も高くなっている。

最低コル

ウスユキソウにイワベンケイとヨツバシオガマ

チシマギキョウとシコタンソウやイワキンバイ

滝谷側に回りこむと南峰が迫ってくるようだ。

これは厳冬期の様子。

日陰になっている滝谷側は岩が冷たくて気持ちいい。

こんな簡単な岩場はつまらない?

北穂高岳の山頂には何人かが立っているけれど、岩稜通しは無理なので30m下るあたりが憎らしい。

涸沢からの南稜ルートと合流すると雪が残っている。

松濤岩を見上げながら石段を一息で北穂高岳に到着だ。

小屋に着くなり乾杯するのは宗教的行事みたいになっている。

乾いた喉が潤えば昼ごはん。

みなさんカレーライスでゴリラは醤油ラーメン。

クモマミミナグサとは舌を噛みそうだよ。

やはり夏だから午後は雲が増えてきて、前穂高岳は姿を見せるが槍ヶ岳は現れない。

早くも来年の縦走ルートを相談中。

ちょっと昼寝をしたあとは楽しい夕食が待っている。

夕方の5時からとは山登りは健康的だと勝手に決めていて、ぐいっと生ビールのお次は日本酒かい!?


さあ明日はいよいよ大キレットだ。
7月25日(月) 天候:晴れのち曇りのち雨
北穂高小屋5:45・・・7:10飛騨泣き・・・7:50A沢コル・・・8:15長谷川ピーク・・・9:00大キレット最低コル・・・10:15南岳小屋11:10・・・11:20南岳・・・12:15水場・・・12:45中岳・・・13:40大喰岳・・・14:00飛騨乗越・・・14:15槍ヶ岳山荘(泊)
しっかり朝ごはんを腹に詰め込んで出発しよう。

雲は多目だが昼まで雨になることはなさそうだし、最終ピークとなる槍ヶ岳が招いている。

いきなりの急降下に備えて十分過ぎるほどストレッチをしたけれど、まだ暖気運転中なので身体がぎこちない。

100mほど下るとハクサンイチゲが咲いている。

ヤマハハコ?

チングルマ

槍ヶ岳が待っている。

小さなリッジを越えると滝谷の岩場を眺める展望台がある。

第一尾根やクラック尾根を眺められ、45年前は攀じていたと言っても信用してもらえないかな?

一箇所だけハイウェイみたいな道になり、振り返ると北穂高小屋が小さく見えている。

タテヤマリンドウ

やがて槍の穂先が隠れそうになり、落石注意のクサリ場を急降下する。

リッジは横尾本谷側を通過する。

もうあの壁は登れない。

これは厳冬の様子です。

みなさ~ん、ここから先はお喋り禁物ですよ。
なぜなら難所といわれる“飛騨泣き”を通過するからで、毎年のように事故が発生する場所だからです。

鎖と足場が設置されてはいるが下りなので慎重に。

気の抜けない下りが続いているけれど、昨日の休養も手伝って余裕が見られます。

やがて長谷川ピーク2841mと同高度になり、後方には三俣蓮華岳や薬師岳までの展望が広がっている。

この赤茶けた岩まで下れば危険地帯は終わったことになり、A沢コルに降り立てばゴリラの小さな胸は一安心。

バリエーション・ルートとされる涸沢岳北西尾根が眺められ、今はなき岳友との山行きを思い出している。

奥穂高岳からジャンダルムを越えて西穂高岳まで縦走したときのことであり、1979年の冬だったから37年も昔の物語になってしまったなぁ。
長谷川ピークは簡単ですからクサリは使わず登ってください。

クサリに触れたら生ビールを奢ってもらいますよ。

長谷川ピーク

ここから眺める南岳は堂々とした姿を誇っているけれど、あたいたちにとっては余裕の登りになりそうよ。

長谷川ピークの下りは簡単で、両手で岩を掴まないので物足りない?

振り返ると北穂高岳が遠ざかり、長谷川ピークの左後方にはドームの岩峰が見えている。

急ぐこともないので最低コルで小休止して、南岳小屋までの標高差230mを2ピッチで登ります。

ジャンダルム越えに比べて大キレットは難易度が低いので、行き交う人も多くて一番の注意点は落石である。
ハシゴとクサリを使って高度を上げてゆく。

ダイコンソウ

ヨツバシオガマ

南岳小屋

ここから先はヘルメットとハーネスは要りません。

牛丼の昼ごはんで槍ヶ岳山荘まで楽勝じゃん。

3時間ほど歩けば槍ヶ岳山荘ですよ。

南岳を過ぎるとハイウェイになるけれど、ガスで山は見えないが花は咲いている。

イワカガミ

チングルマ

バイカオウレン

昨年はアイスコーヒーを楽しんだ中岳の水場は涸れている。

小さな残雪を右目で睨みながら登れば中岳の山頂だ。

ハシゴを下りてゆくと若者が駆け上がってくる。

「槍ヶ岳山荘の方ですか?」
「はい、休憩時間が長ければ南岳小屋まで走るんですけれど。北穂高小屋からですか速いですね」
よほど年寄りに見られたものだとムカついたが
「枡酒頼むけんサービスしてよ~」
イワツメグサとクモマグサ

チシマギキョウとヤマハハコ?

花ではなくライチョウですよ。

大喰岳に着いたころから小雨になり、今回の山行で初めて雨具を装着する。

ついに槍ヶ岳山荘に到着する。

槍の穂先はガスに煙って見えないし、山頂に立ったところで展望はないので止めておく。

まずは縦走の成功を祝って皆で乾杯しよう!

一瞬だが穂先が姿を見せることもあったが、ほとんどの登山者は諦めているようである。

同部屋には上高地から登ってきたという6人グループがいて、展望がないのでガスの穂先には立たなかったそうだ。
西穂から縦走してきたという我々の行動を知り驚いた表情をしていた。

5時からの夕食が盛り上がったのは当たり前。
念願だった西穂高岳から槍ヶ岳の縦走を祝ってワインでオメデトウ~♪

右回りにメンバー紹介・・・
Aさん・・・昨年の北鎌尾根をご一緒した。
一昨年に続きジャンダルムと大キレットは2度目(ルートは逆で前回は南岳⇒西穂高岳)。
Uさん・・・一度は走破したいルートであったそうだ。
山友のAさんに刺激されたのか太鼓判をもらっての参加。
Oさん・・・昨年秋の黒部源流の山旅に続き二度目の北アルプス。
はやくも来年の計画を練るなど山にのめり込みそう。
Yさん・・・どうしても歩いておきたいルートがジャンダルムから大キレットだった。
今回と逆ルートにも意欲がありそうかな。
A氏・・・・Aさんと一緒に昨年の北鎌尾根をご一緒した。
昨年の北海道では酒豪ぶりを発揮し、好物は山なのか酒なんだか分からない。
ジャンダルムと大キレットを越えたいが皆さん共通の目標であり、岩場での身のこなしは見事でした。
中岳で会ったアルバイトのお兄さん、枡酒は溢れるほどサービスしてよ。

ビールにワインと続いて枡酒でも乾杯だ。

今回の山行中では午前中は晴れ間が広がったが、午後は曇りやガスに巻かれる天気になりました。
太平洋高気圧ではなくオホーツク海から張り出す高気圧でした。
日を追うごとに張り出しが弱くなり、ジャンダルムと大キレットを越える日が晴れてよかったです。

めでたし目出度し~(^-^)v
7月26日(火) 天候:雨
槍ヶ岳山荘5:40・・・5:50飛騨乗越・・・6:45千丈沢乗越分岐・・・8:25槍平小屋8:40・・・9:40滝谷出合・・・10:10チビ谷・・・11:15白出沢出合・・・12:00穂高平小屋12:15・・・13:15新穂高温泉
最終日の今日は雨降りの下山となってしまう。

しかし予報よりも天気は良好だったので、日頃の行いがいいからだと全員が思っているに違いない。
飛騨沢にはシナノキンバイやハクサンイチゲが咲き乱れ、単調な道をゆっくり高度を下げてゆけばいい。

コオニユリ

トリカブト

1時間ほどで救急箱が設置されている千丈沢乗越分岐に着く。

カメラを出し入れしていると水滴のせいか画像がピンボケになってしまう。
これはトモエシオガマですよ。

レイジンソウ

水場を過ぎたヌガサソウが咲く場所を知っていて、毎年のように通るから自分の庭みたいになっている。

イチヤクソウ

槍平小屋で熱いコーヒーとどら焼きで小腹を満たそう。

すぐに増水して渡渉できなくなる南沢だけど、今日の雨量ではまったく心配無用。

クガイソウ

滝谷出合から見上げる北穂高岳は雲に覆われている。

なんの心配もなく渡ることができる。

ホトトギス

積雪期には雪崩注意のチビ谷。

ソバナ

単調な歩きに飽きてくると白出沢だ。

ここからは林道歩きが待っていて、岩稜じゃないので転んでも大怪我はしません。

穂高平小屋でコーラを飲んで生き返る。

ヤマブドウ

カモシカ号が待つ新穂高の駐車場に無事下山。

ひらゆの森で5日間の汗を流し、遅い昼ご飯を食べて帰りました。
わ~ピンボケごめんなさい。

参加していただいたメンバーの皆さんお疲れさまでした。
難ルートとされる岩稜縦走の山行でしたが、予想よりも天候に恵まれ楽しい5日間でした。