「梅里雪山 17人の友を探して」   

2013年 06月 20日

小林尚礼 著 山と渓谷社 2006年2月発行
c0219866_175521.jpg

c0219866_1725664.jpg

梅里雪山(メイリーシュエシャン)は中国雲南省に位置する連山の総称であり、7座あるうちの最高峰が標高6740mのカワカブである。
c0219866_1732276.jpg

未踏峰のカワカブを狙う隊が京都大学学士山岳会と中国登山協会による合同隊だった。
その合同隊に海外登山遭難史上最悪ともいえる事故が起きた。

本書の書き始めは1991年1月3日、標高5100mのC3からの最後の交信である。
隊員17人が雪崩に飲み込まれ消息を絶ってしまう。
c0219866_175564.jpg
c0219866_176105.jpg

その当時、学生だった著者は先輩や友人たちの遺体捜索隊に加わり梅里雪山へ向かう。
中国登山協会と京大学士山岳会が捜索するが、連絡が途絶から22日目の1月25日、救難活動の打ち切りが発表される。

遭難から7年後の1998年、麓に住む原住民が明永氷河において遭難者のものと思われる遺体を発見する。
c0219866_1775486.jpg

寝袋に入っていた遺体が多いことから、C3で睡眠中に雪崩に巻き込まれたことが確実視された。
ヒマラヤの高峰に限らず国内でも、逃げ場のない就寝時の雪崩は多くの犠牲者をだしてきた。

遺体が発見された明永氷河
c0219866_1783321.jpg

再び捜索に加わっただけでなく、会社を辞め長年にわたって麓の村に通いつづける。
村人たちと生活をともにしながら遺体の捜索を続け、その15年にわたる過程のノンフィクション作品である。
c0219866_17102883.jpg

カワカブには全長300キロ、徒歩で10日以上を要する巡礼の道があり、父のため母のため自分のためにとチベット仏教徒は生涯に三度回ることが望ましいとされている。
自身もその長大なる道を歩いている。
c0219866_17105768.jpg

厳しい自然環境下での人びとの暮らしぶりも写真入で紹介されている。
c0219866_1711209.jpg

c0219866_17112893.jpg

地元では昔から登山隊は神聖な山を汚すと嫌う風潮が根強く、登る者は遭難して当然という考えを持つ者も少なくないそうだ。
2006年1月現在、17名中16名の遺体や遺品が発見され収容されている。

チベット民族が神と崇める聖なる山カワカブは未踏峰のままである。
c0219866_1712897.jpg

写真から登れない山とは思えないが、人が立たない永遠の未踏峰のままがいいような気がする。
c0219866_17123061.jpg

by nakatuminesan | 2013-06-20 17:17 | | Comments(0)

<< バットレス 久しぶりの雨 >>