ビバーク(2)   

2011年 10月 22日

昨日に続きビバークのこと。
緊急時に行うフォーストビバークと、登山計画の中に予定されたフォーカストビバークがあるが、もちろん前者のことである。

どんなに注意していても、捻挫や転倒による骨折を避けられない場合が考えられる。
最悪にして下山が不可能となり、日没が迫っていれば行動を止める。
暗闇での行動は危険につき厳禁。

ビバークを覚悟したならば、風や雨露を避けられる安全な場所を探す。
平坦で水を得られる場所が理想だが、怪我をしていたり動くと体力を消耗するから難しい。
張ったツェルトに入り、コンロを点火すれば気持ちが落ち着く。
ペラペラの薄いツェルトが、いかに貴重な装備であるかが理解できるはず。

ツェルトがなければ雨や夜露に濡れない大岩や倒木、葉の茂った樹木の下などがよい。
濡れた衣類を乾かすためにも焚き火で暖をとり、とにかく身体を冷やさないようにする。
暗闇を最も恐れる動物は人間であり、焚き火の炎は悲観的になりがちな心境を強くさせる。
ビバーク(2)_c0219866_18542036.jpg

携帯電話は圏外なら電源確保のため切る。
行動食や非常食の残量を調べ、食い延ばし作戦を考える。
空腹よりも喉の渇きが耐えがたく、水の確保を第一に考える。
下山口まで水場がある場合はともかく、最後まで0.5Lの水を残しておくことは登山の鉄則である。

水さえあれば一週間は大丈夫とも言われるが、食料の量だけでなく季節や天候などの状況による。
弱い雨でもツェルトを広げたならば、2~3Lの水は簡単に集められる。
笹や葉についた露を舐めれば喉の渇きを解消できる。
寒さを感じなければ眠って体力を温存する。
季節を問わず夜明け前が最も気温が低く、眠れる状態なら早めに眠っておく。

下山予定時間を過ぎても帰宅しなければ、その夜に家族から捜索願いがでることがある。
早ければ翌朝から捜索が始まり、地上からに加え上空からのことも多い。
単なる道迷いで歩けるのであれば、見つかりやすい尾根に移動する。
自然林の尾根や斜面は岩場が多く、植林された尾根が安全といえる。
頭上を樹林に覆われているなら、焚き火の煙で現在地を知らせる。

水は地形にもよるが、稜線から谷を100~150m下れば得られることが多い。
しかし道迷いか怪我をしているかで判断は難しい。
水を得たならば登り返し、山の掟として決して谷を下ってはならない。

捜索願いが丸一日遅くなったとしても、二晩目を耐えた約40時間後には捜索が開始される例が多い。
とにかく体を冷やさず体力の消耗を防ぐことに徹する。
常に冷静であろうと努力することが大切で、それを失うと異常な行動を起こしやすい。


前回は単独やパーティー登山の必携装備を書きました。
たった1キロ強しかないこれらの装備です。
命の重さと比べる人はいないはずです。

by nakatuminesan | 2011-10-22 18:59 | 山のあれこれ | Comments(0)

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