「ヒマラヤの環境誌」   

2011年 06月 13日

山本 紀夫・稲村 哲也編著 八坂書房 2000年4月発行
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表紙を飾る写真はジュンベシ谷の奥に聳えるヌンブール(6957m)とカタンガ(6853m)

ヒマラヤ登山で知られるシェルパ族は、今から数百年前にチベットからヒマラヤを越えてネパールに住みついた。
そのシェルパ族の人たちは、エベレスト(ネパール名サガルマータ)山麓にあるソル・クンブ地方に住み、標高2700~4000mにものぼる高地で農耕を営み家畜を飼う生活を続けている。

ジュンベシ村に住むシェルパ族の暮らしを追いながら、ヒマラヤ山地の自然を描き、高度差をたくみに利用して生きる人びとの世界をつづっている。
大学教授から大学院学生の12名による調査が、1994年から3年間をかけて実施された。
「ネパール・ヒマラヤにおける草地・森林利用の動態に関する民俗学的研究」であり、本書はその調査報告となっている。

1章 ヒマラヤ山脈―地形と自然環境
2章 ヒマラヤの民族誌―共生する民族
3章 ヒマラヤの環境誌Ⅰ―人と植物をめぐって
4章 ヒマラヤの環境誌Ⅱ―人と家畜をめぐって
5章 変わりゆくヒマラヤとシェルパの世界
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内容はシェルパ族の生活全般、それも多岐にわたっているため要約はできないが、異文化を感じるとともに自然と調和した暮らしを知ることができる。
日本にも自生する有毒のテンナンショウがあるが、毒抜きをして食用とする話も興味深い。
登山向けの書物とは言い難いが、広くヒマラヤを理解するには貴重な一冊。

裏の写真は「ヒマラヤの青いケシ」で知られるメコノプシス(ブルーポピーとも呼ばれる)
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ジュンベシはソル・クンブ地方にある標高約2700mの村であり、エベレスト方面へ向かう昔の登山隊は通過した。
今でもトレッキングコースとなっていて、カトマンズで乗ったバスをジリで降りると、ソル地方では最古といわれるニンマ派ゴンパ(僧院)があるジュンベシには歩いて3日目に到着する。

by nakatuminesan | 2011-06-13 08:37 | | Comments(0)

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